蜷川実花展ー虚構と現実の間にー

すっごく久しぶりに上野に行ってきました。いつの間にか駅前の工事が終わっていて、改札を出ると道路を渡る必要もなくそのまま上野公園に直進出来るように。

受付を通過して展示室へ向かう狭い通路が、現実の世界から蜷川実花ワールドという異世界へ向かう入口のようでした。この通路からもう胸にせまるものがあります。

実花さんの写真は一枚一枚ももちろん素敵なんですが、こういう大きな会場で展示されると、もう圧巻!作品がもっている世界観やパワーに引き込まれたり満たされたり。

展示スペース毎にテーマがあって、その部屋名も「Blooming Emotion」「I am me」「Chaos Room」などかっこいい名前ばかりです。その中で「TOKYO」という、コロナ禍でひとの気配が薄れた東京を映した作品の部屋があるのですが、東京という場所が持っている昏さや孤独などが浮かび上がるような写真たちです。
きっとこのコロナ禍でしか撮れない「TOKYO」だろうなと思います。

そして実花さんの痛みや哀しみが剥き出しのセルフポートレート。よくここまで自身をさらけだせるな、という美しさと野蛮さ。かっこいいといえばかっこいいんだけど、そういう言葉で片付けられない、声にならない叫びみたいなものも伝わってくる感じです。

お父様が亡くなるまでの日々を捉えた静かで清冽な写真や、たくさんの俳優さんやモデルさん、アーティストの方々の写真。どれも実花さんの世界を通すと、その人や世界の脆さや強さ、繊細さなどが浮かび上がってくるようです。

どの部屋のどの作品も心に突き刺さるものばかりなのですが、もう今回の展覧会の目玉としか言いようのないスペースが、「Chaos Room」!!

天井から床から壁からまさにChaos!!!!

実花さんの映画、お父様の舞台にも登場したネオンや、書斎にあるという剥製たち、実花さんの描いた絵コンテなどが惜しみなく運び込まれています。本当に普段部屋にあるものが展示されているとのことで、実花さんのお部屋には今テーブルも棚もないそうですよ。

こんな部屋を体験できるのはこの展覧会だけじゃないかな。

展覧会といえばグッズも楽しみなのですが、ここはやはり蜷川実花さんです。缶ペンケースやノート、マスキングテープ、ハイマッキーなどのステーショナリーなど、どれも美しいグッズばかり。私は美麗なチケットホルダーをゲットできたので、この先観劇するときの楽しみも増えました。

各展示室はもちろん、入口の通路から最後のお買い物まで、これでもかってくらい蜷川実花さんの世界を堪能できる、まさに「虚構と現実の間」としか言いようのない超絶最高の展覧会でした!!

平日に有給取って、絶対もう一回行く…!

蜷川実花展ー虚構と現実の間にー
2021年9月16日(木)から11月14日(日)
上野の森美術館


10:00~17:00(最終入館は閉館の30分前まで)
会期中無休

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